はなが咲くように
第48話
五人になった学校生活が五月後半に入った。
少しこの学校では遅いが、一年生が朝顔を育てる時期になった。
「今日の生活の時間は朝顔の種をプランターにまきます」その一言で花菜ちゃんの目が輝いた。
「お花育てるの好きだったんだもんね、楽しみだね。あと二ヶ月くらいしたらきっと綺麗に咲くよ」
そう言いながら皆で外に出てもう多く並んだプランターの隣に名前を書いてプランターを置く。
皆でプランターに名前を書いて、まだ空のままのそれに土を入れていく。
「じゃあ、その土の上のところに種を入れるための場所を作りましょう」
そう言うと美咲ちゃんが「美咲手が汚れるのやだ」と言いながらも土をどけていった。
恵ちゃんと楓ちゃんはなんとも思っていなさそうに土を触る。
聡君はお父さんと一緒にキャッチボールをしていると言っていたからか泥も土も気にならないようだった。
花菜ちゃんは嬉しそうに少し他の子よりも慣れた手つきで準備をした。
「秋葉先生、花菜ここだとちょっと日当たり良すぎてしなびちゃうからあっちに置きたい」
珍しく自分から発言してきた花菜ちゃんは花を咲かせるのが楽しみで仕方ないらしい。
「いいよ、じゃあ皆であっちに置こうか。プランター持って移動です」
皆が重くなったプランターを持って日当たりの良い場所から少し影の落ちる日陰に移動した。皆が並べ終わったことを確認して言う。
「皆、朝顔の生長についてはお話ししたのを覚えてるかな?」
花菜ちゃん以外からは微妙な反応が返ってくるのでもう一度説明することにした。
「まず、今皆が種をまいたところから芽が出てきます。それが段々伸びるので、そうしたら支柱をつけてつるが伸びやすいようにしてあげましょう。
段々そこからつぼみがついて、二ヶ月くらいで花が咲くようになります。
朝顔って言う名前の通り、朝しかその花は開かないので登校するときに見てみてね。あと、朝顔はお水がなくなるのがとっても苦手です。
朝と帰る前に必ずお水をあげましょう。皆が持ってきてくれたペットボトルのキャップを付け替えて、これで水やりをします。
夏休みには持って帰って皆さんに観察日記をつけてもらうので夏休み前には持って帰ってね。ここまで良いですか?」
そう聞くとはーい、と今度は皆から返事が返ってきた。
花菜ちゃんはプランターの前でしゃがみこんで嬉しそうにそれを見ていて、それだけでどんなに楽しみにしているか分かる。
この子の花が綺麗に咲くといいな。そう思いながら皆で教室に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます