第110話
「ねえ可奈、実は私からも伝えたいことがあるんだけど……聞いてくれる?」
「もちろん。どうしたの?」
「安定期に入ってから言おうと思ってたんだけど、宙との子どもを授かりました。障害が遺伝したらってすごく怖かったんだけど、宙が生まれてくる子は愛されて幸せになるために生まれてくるんだって言ってくれたから決意したの。今のところ元気に育ってくれてて、ちょっと体は苦しいけど嬉しい。発達障害があるかは生まれてしばらく経たないとわからないけど、障害があってもなくても私この子を愛せる自信があるの」
「唯おめでとう!! そうだよね、ずっと遺伝のこと心配してたもんね。それでも産もうと思えるなら、やっぱり唯の隣にいるのが宙で良かった。宙にもおめでとうって伝えておいてね。私も赤ちゃんに会いに行きたいんだけど……いい? あと何なら食べられそう?」
「何も持ってこなくていいよ、でも可奈には私も会ってほしいと思ってたの。私の一番大事な友達だよって、この子に教えてあげたいと思ってたの。会社は産休も育休もしっかり取らせてもらえるところに入ったし、会いに来れそうな日があったら教えてほしいな。ごめんね自分から会いに行けなくて」
「身重なんだからそんなところで無理して会いに来なくていいの! 唯の悪いとこでてるよ、あ、香りとかは大丈夫?」
「ありがとう。ありがたく甘えさせてもらいます。あとそこまで気にしてくれるのも嬉しい。実は香り今ちょっと吐き気がしちゃって駄目なんだよね、香水とかは付けないで来てくれると嬉しいかな」
「分かった、私の仕事来月休みあるからその時にまた連絡するね。今日は話聞いてくれて、話してくれてありがとう。唯と久しぶりに話せて嬉しかった」
「私も。じゃあ待ってるね、またね」
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