第78話

四年生の春になった。唯はキャンパスには戻ってこなかった。それでもパソコンを開けばリモート授業の受講生の欄にYUIというアイコンがあった。


ーー帰ってきたんだ。でも何でキャンパスにこれないんだろう。大学から唯の家は近いはずなのに。でも、それでも帰ってきてくれたんだからいい。


また誘ったら遊びに行ける日も近いかもしれない。




四年生の春学期も三週間が経った頃、宙から連絡が来た。


「唯ちゃんに告白するって決めた。復学祝い兼ねて今週の土曜日誘ったらOKもらえたから行ってくる。応援頼んだ」


そっか、じゃあもうすぐ私の恋は終わるんだな。唯はきっとまだ自分の気持ちに気づいてないだろうけど、それでもいつかはきっと気づく。


宙が言ったらきっと気づく。そしたら終わりか、最初の恋よりはずっと長く続いたな。


手当たり次第に男子と付き合ってこじらせたりもしたけど、それでも楽しかった。


今でも大好き。きっと二人が結ばれてもその気持ちは変わらない。自分のこれまでのどの気持ちよりもきれいだった。きっとずっと忘れない。きっとずっと宝箱に大切に大切にしまわれる気持ちになる。


まだ、応援はできないけど、それでもいつかきっと心から祝える日がくる。いつかきっときれいな思い出になってくれる日が来る。


そう思って土曜日を待った。約束すると聞いていた時間からずっと落ち着かなくて見ていたテレビの内容も頭には入ってこなかった。


「告白はしてきた。今から長期戦で返事待ち」

土曜日も四時を過ぎる頃届いたメッセージを見た。告白は、と言う言い方が少しひっかかったがそれ以上何も訊かなかった。


きっと、唯はいつか応える。それでも、ずっとずっと大好きだよ、唯。

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