第77話
それでも諦めきれずに毎日メッセージを送った。せめて一番の親友でいたかった。
唯は毎日必ず返信してくれた。それがどんなにくだらない内容だったとしても、どんなにつまらない話だったとしても、いつも明るく返信してくれた。
ーーそんなことされたら、諦めきれなくなる。まだ好きなままでいさせてほしいと思ってしまう。
それでも唯との関係を途切れさせることなどできなかった。
二年の秋学期から、急に唯が大学に来なくなった。心配でたまらなかったが、きっといつか自分には理由を話してくれると信じて理由は訊かなかった。
ずっと話してくれなかったら、いっそのこと唯は唯で別の人生を生きるんだから私もそうやって生きていくんだって諦められるのに、なんて思っていた。
三年になって唯が休学したことを本人に聞いた時も同じ理由で理由は訊かなかった。ほんの少し、訊いて教えてもらえなかったらどうしよう、と思っている自分もいた。
休学期間中も毎日メッセージを送り続けた。唯からも毎日深夜にメッセージが返ってきた。
忙しいのかな、体調崩してるのかな、どっちにしろ唯の邪魔になる、と思って電話するのはやめた。もっとも唯に電話をかけるのは彼氏の話をするときがほとんどで、彼氏などもう要らないと思っていた可奈がわざわざ唯に時間を取らせて電話をする理由もなかった。
更に半年が経った。それでも唯は戻ってこなかった。確かうちの大学の休学期間は連続で一年間が上限だったはずだ。
次の春になる頃にはきっと唯もまた帰ってきて明るい笑顔を見せてくれるだろう。流行していたウイルスも少しだけ落ち着きを見せ、対面授業も増えてきていた。
きっとまた顔をつきあわせて話せるときが、笑い合えるときが来る。
そんな風に思っていた。
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