第74話
根が明るく屈託なく笑い誰にでも話しかける可奈のもとにはその後も男子がぞろぞろと寄ってきた。
それからも何度か交際に発展した男子はいたが、どの人も恋愛慣れしていないから恋愛がしてみたかっただけ、恋愛慣れしすぎている、などという人ばかりで、可奈という一人の人を好いてくれる人ではなかった。どうやら自分には男を見る目がないらしい、と三回目のお別れでようやく気づいた。
そしてそのたびに唯が相談に乗ってくれた。
ようやく好きになれた、と思ったはずの彼氏の浮気相手に平手打ちを食らった日には夕方も日が落ちて暗くなってくるような時間に唯が手当てに来てくれた。
「あーあ、また派手にやられたねえ……」と言いつつ手当てしてくれる手は優しかった。グズグズと泣いている間唯はずっと優しく背中をさすってくれていた。
もとはと言えばそんな人に引っかかってしまった自分が悪いのに、自分に暴言を吐いてその上殴ってきた相手にやり返さなかった可奈は優しい、とまで言ってくれた。
絶対いい人いるからね、まだ見限っちゃ駄目だよ、なんて碌でもない男に引っかかってばかりの可奈に優しい言葉をくれた。
それからも告白をOKして今度こそは、と思って過ごしたがその思いもむなしく、結局自分だけを一途に愛してくれる、映画で見たような”運命の恋”はできないままだった。
唯は「また碌でもないやつつかまえたのかー、ほんとにこんなにいい子がここにいるっていうのにまともな男どもはどこに目付けて歩いてるんだか!」と毎度駄目な人ばかり捕まえてくる自分に呆れることなく何回でもひどいことをした彼氏に自分のことのように、むしろ諦め気味だった可奈以上に怒ってくれた。
そんな優しさに、自分のことをきちんと見てくれていると実感できることに、その頃可奈はもう周りの男子のことなどどうでも良くなっていた。
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