side.可奈

第69話

「告白はしてきた。今から長期戦で返事待ち」


そんなメッセージが飛んできたのは唯と昼から会うと聞いていた土曜日の四時が過ぎようとしている頃だった。


あの二人、そんなに一緒にいたんだ。お昼ご飯だけ食べてすぐ帰ってくるのかと思ってた。まああの二人なら会話も弾むか。


長期戦になるとしても、いつかは二人が結ばれるのは可奈には分かっていた。


聞けば宙は初めて見たときから唯のことが好きだったと言うし、唯が宙に惹かれているだろうことも分かっていた。


何なら唯の方は自分が宙に好意を持っていることにすら気づいていないだろう。今までだって多分一番近しいはずの私にそんな話を持ちかけてきたことは一度もない。自分が話を聞いてもらうことは幾度となくあったが唯から恋愛の話をされたことは一度もなかった。


今日言われてやっと自分の気持ちを自覚したところかな、なんて思う。


いつか二人は結ばれて、いつかはきっと結婚までいくだろう。いつかは子どもを持って、幸せな家庭を築くだろう。


それくらい二人がお似合いで、お互いを補い合えるような関係なのは分かっていた。


ああ、これで唯が返事をしたら、二人が無事に結ばれたら私の恋も終わり。楽しかったな。大好きだったな。まだ本当は諦めたくないな。でももう終わり。


誰のことが好きなのかだって、目線を、その顔をずっと見ていればすぐに分かるに決まっている。


ずっとずっと傍で見て支えてきた。それ以上にたくさん支えられても来た。


ーー唯に。

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