第22話
恋愛話を聞いていると、友達とたわいもない話をしているとふと思うことがある。
もう高校時代から三年以上自分を創って生きているのだ、今更普通の幸せなんて、普通の恋愛なんて求めていない。
自分の吸収力や成績、学歴やサークルでの活動を考えれば、一人でだってきっと三十五歳からも正社員として生きていける。
でも、ほんの少し、今でも創っている自分を、慕ってくれている友達をだましている自分を後ろめたく思う。
そう、可奈のような素直で元から明るく私のことを創っているなどと疑いもしていないような子を見ていると。
本音で話せる存在って、本当の私が常日頃から考えている論理をぶつけていい相手なんて、どこかにいるんだろうか。
本当の、頑なで泣き虫で、一度怒れば理詰めで相手の逃げ場がなくなるまで話す私がいいなんて人はこの世界のどこかにいるんだろうか。
私が笑わなくても、いつでも明るく朗らかじゃなくてもいいっていう人なんて、泣いていても簡単に怒ってしまってもいいって言う人なんて、
ましてそのほうがいいという人なんているとはどうしても思えない。
どうせ今隣にいてくれる子達だって私が素を見せたらいなくなるんだ。だってそれはもう”唯”じゃないんだから。
ーー唯じゃなくなった私に価値なんてないんだから。
中学時代の思い出と呼ぶには苦々しすぎるものが、また一層唯を頑なにさせた。
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