第18話
対して宙は唯を外に誘い出すことはなかったが、お互いの趣味はぴったりと合っていた。
電話をすることはあったもののそれは唯の中では男女の友人として外に誘い出されるよりはセーフの判定になっており、外に誘ってこなかったからこそ唯は宙との関係を保ち続けていたともいえる。
もちろん一回でも外に誘ってきた男子との電話はお断りだったが。
「唯さんあの最近公開された映画見た?一日経つと記憶がなくなっていく女の人のやつ」
「見た見た、超泣いちゃった」
「だよね、毎回流れる音楽とかで泣かせにきてるのわかるのに泣いちゃう、ほんと卑怯」
「ほんとにそれだよもう、たまに泣くとこのポイントちょっとずらしてきたりもしてさ」
「そうそれ! 今回こそは耐えたと思ってたはずがそこからちょっとずれたところでまた泣くポイントがくんの」
「そう、私も耐えた! と思ってたはずがまた泣いた、主人公が記憶なくしたのと同じ数だけ泣いた」
とお互いに登録しているサブスクの映画やドラマを見ては感想を送りあった。
リアルタイムで電話しながら映画を見ることもあり、ホラー耐性は多少あるもののやはり怖い、といった怖いもの見たさの映画はレポートを進めつつ同時に見た。
「うっわ!ちょっと唯さんやばい画面見……うっわ!」
「え、なに?うっわ怖い怖い無理無理無理なんで画面見させたの!」
「いやこんなん一人で見てられないって、ああ絶対この人死ぬじゃん……ほらもう一人でそんなとこ行くから……」
「あれだよね、『こんなとこにいてられっか! 俺は部屋に戻るからな』って言った人が最初に死ぬのとおんなじ」
「それそれ、定番だよね。俺なら絶対団体と離れたくない」
「でもその中にゾンビになった人が混ざってくるのも定番じゃない?」
「うわ確かに。じゃあ主人公ポジション獲得するしかないか」
二人とも画面を見ているときは大体叫び声は同じ時に出るようで、それがおかしくて二人でゾンビが迫ってくるシーンを見ながら笑ってしまった。
そうして二人で映画を見ていると、どんなホラーを見た後でも眠るのが怖くなくなってしまった。
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