第16話
それからも可奈の選ぶ男子は散々だった。
「ねえ唯、先週告白してくれた健くん他にも三人彼女いるらしい……彼女の一人が私のとこ来て人生で初めての修羅場経験した……あんなの映画か小説の中だけだと思ってた……」
「なにそれ?! 可奈大丈夫? その人に殴られたりとか暴言吐かれたりとかしてない?」
「私はずっと健と付き合ってきたのにあんたなんかに負けてたまるかって言われて平手打ち一発食らった……でも家に何も手当てする物ないから今から薬局行ってくる……」
「八時半過ぎてるからあそこもう閉まってる時間だよ、私今からそっち行くからちょっと待ってて?」
「うう……唯ごめん……」
「どう考えても悪いのは可奈じゃなくて彼氏。何なら殴り込み案件だからねそれ」
可奈の家に着いてみれば頬を赤くした可奈が泣く寸前の顔で待っていた。
「あーあーまた派手にやられたねえ……やり返さなかったの?」
「だって私が選んだ相手が間違ってただけで他の彼女さんも悪いわけじゃないし……あっちも傷ついてたから私のとこ来たんだと思うとなかなか手出すのは」
手当てされながらぐすぐすと泣く可奈はそれでもこの一週間彼氏のことを大切にしていたし告白された日にも嬉しそうに連絡してきていた。
その姿を見るといたたまれなくて背中をさする。
「もう優しいなあ可奈は……ちょっと痛いかもしれないけどこれで我慢ね」
と唯は手当てした頬をぺしっと軽く叩いた。
「いてっ…………なんでこんな人ばっかり何だろう、これでも好きだったつもりなのに……まあ女子会の笑えるネタにはなるか……でも次こそいい人捕まえるんだから……」
「切り替え早いのは可奈のいいとこだし私は可奈のこと大好きだから忘れないでね。彼氏の方は私も早くいい人捕まえてくれた方が安心だし可奈いい子なんだから絶対いい人いるからね、諦めないでねほんと、この世にはもっとまともな人いるから見限るのはまだ早いからね」
「はい……」
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