第82話

その後もキャラクターに会って抱きしめてもらった写真や、アイスを食べている写真がどんどんと増えていった。


「望抱きしめてもらった、ふわふわで良い匂いだったの、ぎゅーってしてくれたの」


「そうだね、皆かわいかったしふわふわで気持ちよかったね」


「望アイスもう一個食べたい」「いっぱいアイス食べると頭痛くなっちゃうからしばらくはやめておこうね、代わりにあっちの方行ってみようか」「行く!」


望はその後も乗れるアトラクションを乗りきる勢いで端から乗っていった。そして全部に「もう一回乗りたい!」と言いながら次のアトラクションに並んだ。


「並ぶのつかれた、早く乗りたい」「もうちょっとかかるから待ってようね、抱っこしてあげるから寝てても良いよ、ちょっと疲れたでしょ」「やだ、待つ」


並ぶのは嫌でもパーク内で寝て時間を過ごしてしまうのはもっと嫌だったようで、その後から望は文句を言いつつも最後まで並ぶようになった。


パーク内のお店では一番大きなぬいぐるみを抱きしめて「これが良い!」と言いだして二人から買うなら最後にしようね、と言われて店から引きずり出された。


夕方になっても変わらず元気なままだった望は「夕日見える! きれい!」と言って景色にもはしゃいでいた。


綺麗なものを一緒に見られたと思うと、そしてそれを見ている望と奏斗の顔を見られたと思うと陽向も嬉しかった。私、見えるうちにここに来られてよかった。この二人の顔を見られて、よかった。私この人と出会えて、望に会えて、望と一緒に過ごす生活を始めてよかった。まだ見たいものはいっぱいある、見えるうちに制覇しなきゃ。私の目も段々見えなくなってきてる。左目は、きっともうすぐ見えなくなるんだろうな。残念だけどしょうがない。でもまだ見えるんだから大事にしなきゃ。


大人にはなかなかのハードスケジュールで二人とも疲れてきていたが、望は初めての空間に疲れを忘れたようで夜まではしゃいで遊び回った。

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