第81話

その次の三連休には三人で電車に乗って朝からテーマパークに行った。


陽向は二人を待たせてチケットを入れるためのケースを買いに行った。大人用のシンプルなもの二つと、子供用のキャラクターの形のものを一つ。これつけてたら望可愛いだろうな。きっとここにいるどの子よりも望が可愛い。


それを持って望のところに走ると、望は「これやだ、ふつうのがいい」と言いだした。どうやら大人と同じ事がしたいお年頃らしい。


陽向は、ちょっと高かったのに……それより喜ぶと思ったのになあ、と思いつつキャラクターの形のものを首にかけて三人で歩き出した。


望は大きいアトラクションに乗りたいと言い出したものの、身長がバーより少しだけ足りなかった。「望、これはもうちょっと背が高くないと乗れないんだ」と言うと望が泣きそうになった。


乗りたい、背伸びすれば届くもん、と言って半べそをかいている望に「代わりにあっちにあるコーヒーカップに乗ろうか、とっても可愛いよ、ママあれに乗ってみたいな」と誘った。


乗ってみれば望は最高にご機嫌で、「パパもっと回して! もっともっとぐるぐるしたい!」と言ってはしゃいだ。

結果回していた奏斗が酔ってしばらく休憩することになった。


「はーやーくー、パパもう望あっち行きたい、早くしてよ、はーやーくしーてーよー望待ってるんだよ」


「ちょっと待ってくれ、ごめんな今パパ気持ち悪いんだ」


「ち、よ、つ、と、ま、つ、た、ほら望待ったもん、早くしてよー」


「ああ分かった分かった」と言いながらふらついたまま奏斗は立ち上がって望に手を引かれて歩き出した。


次に乗りたいと言い出したのはまたも大型アトラクションで、こちらはなんとか身長をクリアしたものの再度奏斗を酔わせることになった。


「楽しい、楽しい、次行きたい、これももう一回乗りたい、パパ早く」


と引っ張られて奏斗は多少顔色の悪いまま連れて行かれた。陽向が飲み物を買ってきていくつかのアトラクションは奏斗を休ませて二人で乗った。


パーク内でプリンセスに会った望は目を輝かせて「望もあれやりたい! きれい! かわいい、あの洋服着たい」と言って嬉しそうに一緒に写真を撮った。ポーズは最近お気に入りのダブルピースだ。


プリンセスに「あなたもとっても綺麗ね、プリンセスみたいでとってもかわいいわ」と言われて更にわくわくした顔になった望が


「ねえ聞いた? 望プリンセスみたいだって! 望大きくなったらプリンセスになることにした!」と言った。

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