第68話

子どもの成長は早いもので、いつの間にか望は二歳になって三歳になった。


毎年アルバムの写真は増えていって、三歳の時には千歳飴を持った和服姿の望がアルバムに追加された。アルバムと一緒にその千歳飴ももらって帰ってきた。


「望ずっと千歳飴なめてる、いつまで経っても終わらなくってなんか顔が段々焦ってきてる。この子可愛いんだけどどうしよう」


「ママこれ長い、終わらない、望食べきれない、もうやだ」と言って少し泣きそうな顔になった望を見て千歳飴を食べるのを一旦休憩させながら三人で話した。


「望見て、これが望が一歳だった頃の写真だよ、まだ赤ちゃんだね。ベッドの上でごろんできるようになったり、立てるようになったり、ママって言ってくれたりしてとっても嬉しかったんだよ。パパもパパって望が呼んだ日はすっごく喜んだんだよ。泣いて喜んでたんだよ」


「そう、パパって呼んでもらえた日はパパ嬉しくて泣いちゃったんだよ」


「いっさい、まだあかちゃんだね望。ちっちゃい、まだ今の望みたいにしゃべれない?」


「そうだよ。まだ全然喋れなかったんだよ、今はたくさん話せるようになったね。それでこれが二歳の時。去年だね、去年は小さいドレスを着たね。このドレスお姫様みたいで可愛いね。去年はいっぱいいろんな事に『なんで?』って聞いてくれるようになってママもパパも考えることがすっごく増えたんだよ」


「パパは望に『何でお空は青いの?』って聞かれてすっごく考えたし勉強もしたんだよ、すごく楽しかったね」


「にさい、今望さんさいだからもっと大きいね」


「そうだね、今年で三歳だね、三の指できる? ……それだと四つだなあ、ちょっと難しいね。これから三歳のうちにきっとできるようになるよ」


「パパもママも望のこと大好きだからね、さて今の望は何になりたいかな?」


「パパのお嫁さん! パパかっこいいからお嫁さんになるの望」


「聞いたか今の、言ってくれる時がきたぞ、どうしよう俺パパ嫌いとか言われた日には泣く自信がある」


「聞いた聞いた、パパのお嫁さんになるんだね。パパかっこいいもんね」


「うん、パパかっこいいからお嫁さんになるの。絶対なるの、この二歳の時のドレス着るの」


「今の録画できてるよな? もう一生ものの映像だこれは」


そう話した後また望は千歳飴を食べたいと言い出して、与えてしばらくしたらまた長すぎて焦って泣きそうになった。それも可愛くて仕方なかった。


三人は三人皆で成長しながら家族として幸せに過ごしていた。

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