第42話
仕事から帰ってきても陽向は変わらず頭が痛いようで、心配した奏斗に料理を任せてソファーで横になっていた。うーん、やっぱりちょっと痛い。
「気圧のせいって言ってたけど今日も明日も特に何もないぞ、天気も晴れだ。あの時は雲も見えたがそれくらいだな。それに陽向、あんまりそういうのに影響されるタイプじゃなかっただろう。これまでそんな日もなかったし、体力もある方だろ」
食事を運びながら奏斗が言った。
確かにこれまではそのはずだった、んだけどなあ。あの激務の日々も大丈夫だったし、と思いながら「でもそういうときもあるかもだし、ここ最近の疲れがたまってるのかもしれないから」と返した。
「まあ、最近は休日も式の準備やらドレス着るためのダイエットやらでいろんなバランス崩してたもんな。今週からはゆっくりして様子を見たほうがいい。食事ももう少し量とってとりあえず体重戻せ。
何かあればすぐ早退しても良いし、休んだって良い。陽向のおかげで後輩も使えるようになってるから、あんまり無理しなくて良い」
「ありがとう奏斗さん好き、奏斗さん大優勝できることなら旦那さんになって欲しい」と抱きつきながら言った。
「よかったな、ラッキーなことにもう旦那だ」と陽向を抱き直してリビングの椅子まで連れて行く。
「そんなに幸せな事ってあるの?! どうしよう、もったいないくらいだよ!」と目を輝かせて嬉しそうにする陽向に、奏斗も「俺もそう思ってるよ」と返した。奏斗もその陽向の態度に少し安心していた。
食後になってからは頭痛も気付けば軽くなっていたのでもう気にも留めていなかった。
「お皿洗わせて」「駄目ださっきまでソファーに埋まってただろう、却下」「もう大丈夫だから」「駄目」と言われ陽向はその日の家事は何もさせてもらえなかった。
「奏斗さん甘やかしすぎですよ、妻の務めくらいさせて」「仕事で使い切るレベル回したの全部捌いただろう陽向。甘やかされておくんだな、俺が疲れてたら交代だ」
そのまま結局陽向は何もせずに夜になった。
「ほら体調不良人、早く寝るぞ」
「やだ奏斗さんまだ十時だよ、いつもならお酒飲みながらテレビ見てる時間だよ、私これから見たいテレビある」
「録画してやるし俺も一緒に寝てやるから来い、今日は大事を取ってくれ頼むから。俺からのわがままだ、さっき仕事捌いた分くらい聞いてくれ、心配なんだよこれでも」
その心配が前面に出た頼みに断れるわけもなく、陽向は好きなテレビは録画して見ることにしてその日十時過ぎに眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます