第四章 4-1
――――……此処は何もない世界。
ただ真っ白なスクリーンを広大な空間に継ぎ目無く張り巡らせたような、そんな場所。
白い、ただ白い。全てが見える筈なのに、全てが照らされている筈なのに、この白さは暗黒の闇そのもの。声もこだましないこの場所は、どれ程の範囲で、どれ程のスケールなのか。
いくら明るくとも塵すら抹消されたこの場所は、ただの地獄と何ら変わりない。
(一人ぼっち……、自分は一人ぼっちなんだ……)
考えが結論に辿り着けば、勝手に涙がボロボロと溢れ出てくる。
どんなに泣き叫んでも、待つだけでは期待するものを得られるはずも無く、その事実だけで心は絶望に支配され、寒く凍えるような感覚に陥る。これは虚しい時間が刻一刻と過ぎ去るだけの無そのものであり、涙が枯れた頃には泣き叫ぶ行為こそ無意味な行動と知る。
今思えば、苦しみと悲しみを通り過ぎて生まれた無垢な冷静さが、この世について深く考えるきっかけとなった分岐点。途方もない時間を使い、自分は考える自由だけに集中する。
自分は一体何者なのか、自分は一体何をしたのか、一体何故自分だけ生きているのか……。
多くの疑問を一つ一つ自分に投げ掛けては、答えを模索する日々。
間違えて混乱して時に考えが空回りしても、確かな真実に辿り着いた時、自分が犯した大罪に愕然とするばかり。それは自分が今更どう足掻こうと全てが手遅れと再三示すだけ。
突き付けられた現実と呪われた運命を切り開くため、更なる大罪を積み重ねて生命をこの手に握り、生態系まで目まぐるしく変動させて、始まりを開拓する決心を確固たるものにする。
それが正解か間違いかなど、考える余裕すらないほどに……――――
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