第二章 2-1

――――……「あそぼー! あそぼーよ! みんな友達になろうよ!」

 暗闇の中、一人光る自分がいた。正確に言えば、自分が大量の何かに照らされているようだ。

 それは鮮烈な赤であり、横に二つ一組の灯りが一定間隔で大量に揺れ動く様子から、大量の眼球が揺れ動いていると推測は出来た。懐疑と言う言葉を知らなかった自分は赤いそれを仲間と信じて疑わず、期待で心躍らせ、描く未来は明るい希望に満ち満ちていた。

 しかしこの赤が肉体へ染み渡る時間は、非情な現実を色濃く鮮明に、地獄と言う名の無言の圧力を心身に刻み込む事で酷く学習させられる。謎の視線はスポットライトの比にならない凝縮した光線で、自分を幾層も重ねられる事がどれほどの異常事態か、容易に心象出来た。

 加えてこの警告的な赤は、心荒む感覚を脳が細かく拾い上げてしまう。この状況で永遠と言う言葉を認識する事が実に恐ろしく、無理矢理楽しい事を前向きに考えるも精神は病む一方。

 頭と膝を抱えて縮こまり、瞼を固く閉じて平凡な暗闇に癒しを求め、ただ、震える。

 それでも時間は進む。無情に、無残に、無慈悲に。

 過ぎ行く日々の中で、膨大な時間を与えられたのは最後の自由。

 混乱と挫折を繰り返し、途方もない自由じかんを費やして、自分はある仮説に辿り着く。

 それはあまりに残酷で恐ろしい連鎖と言う衝撃。理解するほどに受け入れる事を困難にさせるが、核心をついたこの謎を紐解けば、けたたましい音を立てて開く真の扉。

 期待は恐怖へ、希望はどん底へ。真実はあまりにも残酷だった……――――

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