第2話 増え続ける異次元の影 

「また増えてる…」


桜は学校の裏庭で、次々と現れる異次元の生き物たちを見て、呆然としていた。前回の騒動の時も、異次元から来たモグの仲間たちが次々と増えていったが、今回はその規模がさらに大きくなっている。フワフワの小さな生き物たちが、裂け目からどんどんと現れ、桜の周りを飛び跳ねている。


「こんなに増えたら、どうしようもないよ…」


桜は頭を抱えた。これまでなら、モグ一匹だけでも学校の中で騒動を起こして大変だったのに、今回は数十匹にも及ぶ異次元生物が一斉に現れている。桜の手には負えないほどの規模だ。


「モグ、どうするの?君たちの仲間がこんなに増えちゃったら、学校中が大混乱になるよ!」


モグはそんな桜の心配をよそに、落ち着いた様子で仲間たちを見ていた。彼にとっては、異次元から来た仲間たちが現れることは不思議なことではないのかもしれない。だが、桜にとってはこの騒ぎをどう収めるかが一番の問題だった。


「とにかく、みんなを学校に入れないようにしなきゃ…」


桜は焦りながら、モグたちを裏庭から離そうとしたが、異次元生物たちは嬉しそうに校舎の方へと向かい始めた。


「うわっ!ちょっと待って!そっちに行かないで!」


桜は慌てて彼らを追いかけたが、すでに時遅し。異次元生物たちは校内に侵入し、教室や廊下を自由に駆け回り始めた。生徒たちは当然、異次元生物の存在に気づかないが、物が突然消えたり動いたりする現象に驚き、騒ぎ始めた。


「これって、また私のせいにされちゃう…」


桜はため息をつきながら、異次元生物たちを必死に捕まえようとしたが、彼らの動きは素早く、次々とトラブルを引き起こしていく。教室の中では、生徒が作った工作物が消えたり、掲示板のポスターが剥がれたりしている。


「もう、どうしたらいいの…」


桜は途方に暮れつつも、モグに助けを求めた。すると、モグは静かに歩き出し、仲間たちの前に立ち止まった。彼が何か合図を送ると、異次元生物たちはピタリと動きを止め、モグに従うようにその場に集まっていった。


「モグ…もしかして、みんなを制御できるの?」


桜は驚いた。モグは仲間たちをコントロールできる能力を持っていたのだ。彼の存在が、異次元生物たちをまとめるリーダーのような役割を果たしていることに、桜は気づいた。


「これで少しは落ち着くかな…」


モグの力で異次元生物たちが大人しくなったとはいえ、問題はまだ解決していない。この増え続ける異次元の生き物たちをどうすればいいのか、桜にはまだ答えが見つかっていなかった。


「次はどうするか、考えなきゃね…」


桜はモグを見つめながら、新たな異次元トラブルに立ち向かう決意を新たにした。次なる大混乱がすぐそこまで迫っていることを感じつつも、今は少しだけ静かな時間を取り戻したのだった。

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