第1話 異次元からの再訪者

「また、来たのか…」


桜は学校の裏庭で、目の前に広がる異次元の裂け目を見つめながらため息をついた。これまで何度も異次元の騒動に巻き込まれてきた桜だが、今度の裂け目には、これまでとは違う不穏なエネルギーを感じていた。


「モグ、どう思う?」


桜は隣にいるモグに話しかけた。モグはじっと裂け目を見つめていたが、何も言わずに小さく頷いた。桜にはわからないが、モグは異次元の力を鋭く感じ取っているのだろう。


その時、裂け目がさらに広がり、中から一つの影が現れた。


「まさか、また新しい異次元生物…?」


桜は少し警戒しながらその影を見つめた。しかし、姿を現したのは、どこか見覚えのあるフワモコの生き物だった。そう、それは以前異次元からやってきたモグの仲間たちの一匹だったのだ。


「えっ、君、また戻ってきたの?」


桜は驚きつつも、少し安心した。モグの仲間であるその生き物は、以前一緒に騒動を巻き起こしたが、最後には異次元に帰ったはずだった。それが、またこの世界に戻ってきたということは、何か重要な理由があるに違いない。


「何か伝えたいことがあるのかな…?」


桜がそう思っていると、さらに裂け目から新しい生き物たちが次々と現れた。モグと同じようにフワモコの姿をした彼らは、嬉しそうに桜の周りを飛び跳ね始めた。


「ちょ、ちょっと待って!こんなにたくさん…!」


桜は予想外の展開に慌てていたが、モグはじっとその光景を見守っていた。どうやら、これはただの偶然ではないらしい。何か大きなことが起ころうとしているのだ。


「モグ、これはどういうこと?」


モグは桜の問いかけに応えることなく、ゆっくりと裂け目の方に歩き出した。彼もまた、この異次元からの再訪者たちの出現に、何かを感じ取っているようだった。


「まさか…また新しい冒険が始まるの?」


桜は不安と期待が入り混じった気持ちで、モグの後を追った。裂け目から次々に現れる異次元の生き物たち。今度の騒動は、今まで以上に大きなものになる予感がする。


「よし、行こうモグ。これが最後の大冒険かもしれない!」


こうして、桜とモグ、そして新たな仲間たちとの異次元トラブルが再び幕を開けた。騒がしく、しかしどこか懐かしいこの感覚。彼らの新しい日常が、今また動き出す――。

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