2人の嘘

4月も終わりに近づいた頃、隼人もようやく契約をとることが出来た。


相手は成美や隼人と同じ年の女性で、車の購入を悩みながらの来店だった。

けれども隼人が親身になって相談にのったことで、購入を決めてくれた。




隼人が書類書類を確認しながら「うわっ」と小さな声をあげた。


それを聞いた成美が隼人に話しかけた。



「どうしたの?」


「住んでる地域の管轄が小梅警察署だったから」


「小梅警察署だったら何かあるの?」


「あそこ、駐車場の数が少ないくせにいつもいっぱいで、空くの待つのに2、3時間待つのが当たり前らしくて」


「よく知ってるね?」


「2回ほど田浦さんが車庫証明出すのについて行って、車番してたから。明日出しに行こうと思ってたんだけど休みが半日潰れると思って」


「ついて行こうか? わたしが車に乗って待ってるよ?」


「悪いからいいよ」


「いいよ。織田くんにはいっぱい助けてもらったから。暇だしね」


「ホントに? じゃあ、何か奢る」


「それじゃあ私のお礼にならないよ?」


「いいよそんなの。明日何時にしよう……」


「早めに行かない? 受付9時からでしょ? 8時半とか」


「早くない?」


「その方が待ち時間が短いよ」


「じゃあ、8時半着をめざして」


「2人の真ん中の駅で待ち合わせでいい?」


「そうなると8時に駅前になるけど?」


「8時ね」

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