第48話
下から後ろから突かれながら絶望の言葉を浴びせられる。
それでも何度もエルミーユは首を横に振りインハルトを信じ続けた。
インハルトは必ず双子の思惑に気付き助けに来るはず。きっと今も必死になって探ってくれているはず。
大丈夫、必ず────
双子は彼女が未だ闇に堕ちていないことに気付いていた。
声はなくとも彼女の瞳に宿る光が意思の強さを示し、それが双子にとって落としがいのある玩具であるかのように簡単には興趣が尽きなかった。
むしろ只インハルトを貶めるつもりが、いつの間にかエルミーユの存在自体がなくてはならないものになっていた。
「インハルトはこんな穢れた敵国の女はもういらないよね。」
「きっと直ぐに綺麗な貴族と結婚して幸せな家庭を築くだろうね。彼は上官たちからの信頼も厚いから。」
「エルミーユはもう暫くしたら海に沈めてあげるからね。」
「ああそれとも兵士相手に身体でも売ってみる?」
「アハハ、売れないでしょこんな身体!」
「ああじゃあ
闇に染まらないエルミーユに双子の言葉は日に日に悪化していく。
エルミーユがこの屋敷に来てから
いっそのことこのまま自分たちに泣いて縋ればいいとさえ思うようになっていたアーチとアーサ。
もっともっとエルミーユをボロボロにして、自分たちに依存すれば一生この可哀想なペットを可愛いがってやれると。
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