第45話

インハルトにも突かれたことのないそこにアーサのものをあてがわれ、エルミーユは恐怖に顔を染める。



「やめてえッッ!!!!」



膝を曲げアーサの頭を蹴ろうと彼のこめかみをかすった。



「アーチ!ちゃんとこいつに媚薬仕込んだのかよ?!」


「お風呂に入れて全身に染み込ませたはずだよ?」


「あのプルメリアの薬使ったの?全然効いてないじゃん!」



媚薬と聞いてエルミーユの全身が震え上がる。



「な、何故、そんなこと・・・!」


「何でかな?あんたのプライドをズタズタにするためかなあ。」


「それともインハルトの心をズタズタにするためかなあ?」


「インハルトの・・・?!」



その言葉に、この双子はインハルトに恨みでもあるのだろうかという考えがふとエルミーユの頭をよぎる。



インハルトはどうしているだろうか。インハルトに今すぐ会いたくて堪らない───・・・・




プルメリアの強力な媚薬には痺れ効果の副作用があり並大抵の力では抗えない。



しかしエルミーユは知っていた。

自分がインハルトにどれだけ愛されているかということを。



彼が自分に侵入してこないのは自分を何よりも大切にしているためだと。



いつか二人の想いが両国に認められた時、初めて身体の中から愛し合えるのだと。



どんなに強力な媚薬であろうと決して屈しない・・・決して・・・



「・・・ねえ、こいつの血の匂いやたら甘くない??もしかして」



アーサがエルミーユの股の間に中指を差し込む。



「ッッ」



エルミーユが痛みに顔をしかめると、アーサが顔に闇をともした。



「信じられないよアーチ、こいつ、処女だ!」


「え?!うっそ!!」



処女の血は甘い。ヴァンパイアにとっては何よりの好物であった。



「へえ、そっかそっかあ~。インハルトってば、ハハッ!!」



アーチがいたずらに笑い、言葉を濁す。



「どーりでさっさと身をゆだねないはずだあ。」



アーサがベッドの枕元に置かれていたクリスタルの小瓶を取り蓋を開ける。

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