第43話

赤い絨毯にうつ伏せになるも、四つん這いで壁際まで逃げるエルミーユ。



「インハルトは!?インハルトはどこなの?!!」



自分は騙されたのだろうか、


騙されたとしたらどこからが真実でどこまでが嘘なのか、


色々な可能性を巡らせたが今は一刻も早くインハルトに会いたい、その一心で彼の名前を呼び続けた。



「うーん・・・あんたはもっと賢いハンターだと思ってたんだけどね・・・。まだ分からない?」


「ど、どういうこと・・・っ?」



ブーツの底と絨毯が接触し、こもる音を鳴らしながらエルミーユに近付いていくアーチ。



「インハルトはここには来ないよ。あんたは僕らにさらわれたの。分かる?」


「えっ?!」



その思いもよらかった可能性にエルミーユは思考を鈍らせた。



自分をあの地下牢から拐う意味が分からない。



拐うならさっさと殺せばいい、敵国を脅すなりして処刑台に晒せばいい。



「な、何のためにそんなこと・・・」



エルミーユはアーチの喉元の動きを見てすぐに自分の身体を腕で巻いた。



「何でだと思う?無防備で無力な敵国のお姫様。」



アーチがエルミーユの前にしゃがみ太ももを掴む。鍛えられているとはいえ弾力のあるエルミーユの白い肉に、アーチは爪を食い込ませた。



「ッ」


「わざわざベッドまで運んでやったのに絨毯のがお好みだった?それともこの赤い色に染められたいの?」



成すすべなく赤い絨毯に押し倒され、両手を上で交差される。



お腹あたりに体重をかけられてアーチが片手でベルトを緩めると自らを差し出した。



「いやッッ」


「何が"いや"だよ?いつもインハルトの咥えてんでしょ??」


「なッ・・・咥えてなんかっ」


「え?嘘、咥えたことないの???

ほんっとあの堅物は馬鹿だなあ。女の使い方がまるで分かっちゃない。」



エルミーユは差し出されたものを拒否しようと口を閉ざすが、アーチがエルミーユの鼻を摘まみ無理矢理口をひらかせた。



「カハッ」



喉まで押し込まれるように入れられ、否応なしに涙目になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る