第42話

エルミーユは戦場に赴き隊を統率するほどのハンターだ。



貴族であり頂点に君臨する王の娘であり、愛するインハルト以外のヴァンパイアである彼に身体を赦すことなどあってはならない。



インハルトがよく言っていた。お前の強さと気高さに魅了されると。



エルミーユは執拗に嬲り回す指から逃れバスタブを握る力で身体を前へとスライドさせた。



「はやく、早くその手を退けて・・・私をここから出しなさい・・・!」



震えながらも目で振り返りアーチを強く睨み付けるエルミーユ。



「いいね、・・・さすが、インハルトが惚れるだけのことはある。」



アーチは、簡単に落ちない女ほど面白いとエルミーユの目を見つめ返した。



無理矢理身体を奪うのであればいくらでも可能だが、自ら欲するまで落としにかかるのが彼のやり方、否、彼らのやり方だった。



しかし────



アーチは服のまま浴槽に片足を入れ、無理矢理エルミーユの身体を湯船から抱き上げた。



白い泡が流れ落ち、エルミーユの火照る身体が現れる。



制御室のパソコン画面を通して見た時は只傷のない綺麗な身体だと思っていたが、


目の前にあるのは反抗的な瞳で見据えながらもピンクに染まる肌で、太ももには光る粘度のある液体が見てとれた。



嗜虐心が募りアーチに劣情を抱かせる。



このまま嫌がり絶叫する様を見るのも悪くない。まだ戻らないアーサにはきっと嫌味の一つでも言われることだろう。



どうせ犯すなら今も後も一緒だ。



アーチは嫌がるエルミーユを濡れたまま浴室から先程のベッドへと荒く放った。



エルミーユは朦朧とする意識に手足の痺れが加わったように震えが止まらない。



シーツを上手く掴めているかも分からず、なんとか自分の脚で歩こうとベッドから転がり落ちた。

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