第37話
「因みに着替えさせたのはこの屋敷のメイドだよ。」
「こ、ここは、もしかして、インハルトの家、なの・・・?」
「そうだよ。君たちのことはインハルト様から聞いてる。」
「・・・」
「正直、最初は驚いたよ。まさかハンターの、しかもヴァン·ヘルシングの娘とできてたなんてね・・・。」
「・・・あ、貴方は、私を、殺したいと思わないの?」
アーチが少し気まずそうに視線を落とし、呼吸を置いた。
「・・・僕は戦場で嫌というほど死体を見てきて、この先もずっとずっと、きっと僕が死んだ後でも戦いは続いていくんだろうなって思うんだよ・・・。」
「・・・」
「終戦なんて望まれているのかどうか分からないくらい戦うことが当たり前になってしまっていて、そのために女たちは子を産み、男は2歳にして隊で訓練を強いられ戦場で死んでいく。」
・・・エルミーユは貴族であるが自分も同じようなものだと思った。
自分は父より信頼を置かれている娘とはいえ、数いる子供の中の一人に過ぎない。
エルミーユは自分が捨て置かれないために幼少より努力を積み重ねてきた。
女にも関わらず、戦場でも役立てるようにと武器を学び、身体能力を高めるために鍛練を惜しまず生きてきた。
しかしきっと自国に戻れば名を知りもしないハンターと結婚させられ、国のために世継ぎを求められるであろう。
そして子供が世継ぎ候補から外されれば、子供は前衛部隊の兵士として扱われる可能性もある。
自国の権力争いも全てはヴァンパイアとの戦争のためのものであり、戦争がなければ皆もっと自由に道を歩めたであろうに・・・
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