第29話

決してヴァンパイアとハンターのまぐわい等赦されない。



両国の長きに渡る因縁は男女の愛一つでどうにか出来るようなものではなかった。




「・・・あの時貴方に殺されておけば良かった。」



女は自分の父親であるヴァン・ヘルシングの愛国心と自尊心に逆らう行為に、いずれ来るであろう無惨な死を覚悟していた。



首を翔ばされるか、四肢を翔ばされるか。



自分だけではない。


男も自国に処刑されることは免れないだろう。



それなら自分を愛してくれる男に一刻も早く殺されるのが本望だと紡ぐばかりだが、


男はそれを叶えてはくれなかった。



「屍になってもお前は美しいだろうな。


だが」



破かれていないスーツの下に男の長い指が入れられていく。


濡れそぼるそこにトントンと入り口を指の腹で蓋をするように開閉した。


男の指が女のそこに吸い付くのを躊躇うように。



「ん・・・ぁあっ」


「それでは俺に溺れるお前の声が聞けん。」



なんて非情な男なのか。


そう思いながらも男の非情さに疼いてしまう女の身体は既に調教されつつあった。



「早く侵入を赦せとお前のここが俺に訴えかけてくる。」



指をトントンと離す度に糸を引き始め、やがて水音が牢内に響き渡る。



「ああッッ!!」



男の指に夢中になっているそこが熱いもので溢れ出ると羞恥が掻き乱され、女が身をよじらせた。



男がその様子に吐息を漏らしながらも指の動きを変えていく。



そこに侵入しないよう気を計らいながら二本の指を前後に滑らせ、時折二本で全体を挟むようにする。



女の唇から「早く」と声が漏れそうになり、男も女の期待するような潤んだ瞳に何度も気をゆるしそうになった。



しかし男は決してその期待には応えない。



息を荒げ顔を火照らせながらも女のスーツから手を引き抜いた。



「まだだ。」



男が女の足元にひざまずくと、女の片方の足枷を小さな鍵で外していく。

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