第18話

悔し涙ではなく、すがるような涙を流しながら青年に震える唇で訴えた。



「お・・・・お願い、」


「・・・・何ですか?」


「いかせて欲しいの・・・・」


「・・・・誰に?スライムに?それとも赤髪の男に?」


「・・・・え?」


「・・・・あなたは全てを惑わす悪い女だ。」



スライムが何本かの細い触手を作り出すと女の背中をなぞり始める。



背中が性感帯になったかのように女が身体をのけ反ると、スライムがその動きに合わせ再び前に触手を伸ばそうとする。



しかし青年が女の腰から膨れ上がる数本の触手を見てとると、触手が這う箇所を鋭く睨み付けた。



「・・・・情を持たないスライムでさえもあなたを感じさせようと躍起になっている・・・・僕が命令せずとも。」


「お、お願い・・・・」


「嫌です。」


「っっ」


「あなたが僕だけを求めるようになるまではいかせられませんよ?」


「分かった、あなたにいかせて欲しいのっ。」


「・・・・」


「お願いっ!いかせて下さい!!」



女に恥じらいなど一切なく、今すぐに欲求を満たされようと必死に懇願する。



青年は、汗と涙を流し只目の前の欲求に喰らい付くその女に目を細めるも、酔いそうな血の香りに喉元を鳴らす。



「・・・・そんな欲求に駆られたあなたの姿でさえも愛しく思える。」



媚薬を飲まされ焦らされているのは女の方なのに、青年は自分が狂わされているような錯覚におちいった。



「僕が、どれだけあなたを想ってきたか分かりますか────。」

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