第15話

「あなたの血の香りは僕らヴァンパイアにとっては毒なんですよ。そのスライムはいずれあなたの体内の血を全て吸い取ることでしょう。」


「っーーー!!」


「でも僕が命令しない限り血を吸うことはありませんのでご安心を。暫くはそうやって快楽に身悶えていればいいですよ。」



にっこりと金髪の青年が微笑む。



女は瞳を潤ませながらも青年の蒼い瞳をギッと睨み付けた。



「・・・まあ、絶頂は迎えられないとは思いますけどね。」



先程の爽やかな表情から一転、ニッと悪魔のような笑みを浮かべると椅子から立ち上がり女の方へと歩み寄る。



それでも女はコツコツとブーツの音を鳴らし近付いて来る青年に鋭い視線を送り続けた。



「どうです??そろそろ媚薬は全身に行き渡った頃だと思いますけど。」



青年が女の前で首を傾げるものの、女は呼吸を一定のリズムで落ち着かせ、スライムに気を持っていかれぬよう必死に顔で殺気を作り続ける。



「フー・・・フー・・・」


「・・・あれ?僕が聞いてるのに可笑しいなー。

全然反応がないですね?」



青年が首を元の位置に戻す。



殺気など全く感じない様子で女の首に両手を掛けた。



「っ」



女が青年の手から退しりぞくように頭を振る。



「怖いですか?」



頸動脈を親指で軽く抑えると青年が女の顔にフッと吐息をかけ、


女の喉が動くタイミングでぐっと強くそこを圧し潰す。



「んぐッ」



首を少し持ち上げるように圧迫し、布では吸い切れなくなった唾液と媚薬が唇を濡らし始めた。

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