第171話

「君ならボクを分かってくれるし、君のこともボクなら分かってあげられる。


伊東さんこそがボクのソウルメイトだって、ずっとずっと信じてきたんだ。」



不意に頭に浮かんできた里桜の言葉が胸に突き刺さる。



『お前そいつに騙されてるって。』



里桜はもう、助けてくれないのかな。



『・・・・それは、俺たちじゃお前を守れねぇから・・・?

アイツになら守って貰えそうだから庇ってんの・・・?』



・・・無理だよね。



瞬時に踏み込む砂利の音が聞こえて、あっという間に凌久の顔面間近にハン君の拳が入り込んだ。


凌久が咄嗟に両腕でカバーするも、拳の重みに膝を震わせながら崩れ落ちる。


地面に膝をつく凌久の上から、ハン君がブランコに座る私を見下ろした。



「伊東さんはボクにとって、하느님神様だから。ボクだけのものにしたいんだよ。」


「ならなんでこいつに手を出そうとすんだ!!」



凌久が両腕で拳を抑え返しながら叫ぶ。



「ボクの手でボロボロにして、動けなくなった伊東さんを、ボクの手でお世話したいんだ。」



心臓を身体の中から鷲掴みにされたように息苦しくなり


爪先から全身が震え上がる。



ハン君のはかなげな表情で見る目には目の前の凌久じゃなく、私しか映っていない。



「・・・それなのに君を先にボロボロにした奴らがいるなんて・・・

何度も嫉妬で、狂いそうになったよ・・・。」

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