第159話
鳴り止まない心臓をかき消すように、私は思い切り息を吸い込んだ。
「うん・・・
でも違う!絶対仲間にはならない!!
只瞳子さんと知り合いで、今は護衛役で一緒にいるだけで」
『あはは☆須藤の仲間にならないことぐらい分かってるよ。』
「え?」
『さっきも俺言ったじゃん。俺たちの総長でいてくれてありがとねって。』
「・・・・うん・・」
三潴の優しい声が、耳から身体全体に伝わって熱くなる。
三潴は私を信じてくれてるのに、三潴がいつも守ってくれていたことに気付けなくて、
ごめんね・・・
『・・・昨日、一氏から聞いたんだよ。織果ちゃんちで須藤に会ったって。』
「・・・・・」
『須藤の奴、一氏に織果ちゃんを貰うだの何だの言ったらしいじゃん?』
「・・・は?・・」
何を言ってくれたんだ凌久・・・・
私は離れた場所にいる凌久を少し睨んでやった。
『一氏さ、相当落ち込んでたからちゃんと誤解解いたげてよ?』
「・・・里桜が?里桜が、落ち込んでたの??」
『一氏を何だと思ってるのよw』
「ほんと??!」
やっぱり三潴は大人かもしれない・・・
まるで私の気持ちを分かってくれていたかのように、あっという間に不安を和らげてくれた。
でも三潴が分かっていたのは今この瞬間の出来事だけじゃなかったようで
その言葉に目の前の景色が色を変え鮮明に見え始めた。
『織果ちゃん、今ほっとした?』
「え??」
『一氏が落ち込んでたって俺の言葉に、安心した??』
「・・・うん・・・した・・・。」
『そっか、
やっぱり織果ちゃんは、
一氏を選ぶのね・・・。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます