第160話
三潴との電話を切って立ち上がると、
ぐるりと180度見渡した周りの景色が、来た時よりもずっと鮮明に広がっていた。
私の後ろには黒い瞳の茶色い毛並みをしたウサギが近くまで来ていて、
アルビノばかりが可愛いと思っていたのが嘘のように可愛い。
宗平の言葉と三潴の言葉が、交互に私の脳内をつついてくる。
『ねえオルカ・・・
いつか僕たち4人の中の誰かを選んでよ。』
『やっぱり織果ちゃんは、一氏を選ぶのね・・・。』
私・・・
私は・・・
里桜を選ぶの・・・??
私の元に近付いて来た凌久が私を見つめた。
「・・・何か、あったのか?」
「・・・何で?」
「今のお前・・・泣きそうな顔してる・・・。」
今私、そんな顔してるの・・・?
泣きたいわけじゃないのに、不思議だね。
この気持ちをどうしていいか分からなくなって、
とりあえず私は凌久に今の気持ちを伝えた。
「凌久・・・お腹空いた。」
「・・・そうだな。」
凌久に手を引かれて、露店で一緒にお昼ご飯を食べた。
ポテトを食べているのに、お腹が膨らんでいるのかどうかがよく分からないまま食べ終えて、
それからまた暫く園内を回って、色々な動物を見た。
小さな動物だけじゃなくて大きな動物も。
「ゾウの肌はサメ肌なんでしゅねー」とか
「サイはプラモデルみたいな身体でしゅねー」とか言ってみたりして。
ずっと頭の中だけはぐるぐる回っていて、目だけは動物に釘付けだった。
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