第153話

動物園に着くと係員のお姉さんに少し不思議な顔で見られた。


パパと娘にしては若すぎるし、兄妹にしては歳が離れすぎてるし。


凌久はどっちかっていうとお兄ちゃんみたいな存在だ。


きっと凌久も私を妹のように思っているだろう。




「何の動物見たい?」


「うしゃぎしゃん!」


「・・・ふっ・・」



朝やっていた番組を思い出して答えただけだったが、凌久がちょっと吹いて笑った。



「・・・・"仮面の女王"かよほんと。」


「っ!///」



今更笑うとか狡い!


小動物と昆虫が好きで何が悪いの?!


でもちょっとずつ凌久との距離は縮んでいるように思えた。


凌久でもそんな風に笑うんだね。



これでも私たちは一応敵同士。


いつか凌久と拳を交えることなんてあるのだろうか。


全く想像出来ない。




ウサギのいる広場に行くと私ぐらいの小さな子供がまばらにいた。


凌久がようやく私を下ろしてくれると、私は一目散に赤目のアルビノのウサギ目掛けて走って行った。

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