第154話
真っ白な赤目のウサギの背中にそっと
ウサギは
「・・・ふてぶてしいウサギだな。」
「うん。」
「でも毎日人間に囲まれて、きっとこいつは寂しくないだろうな。」
「うん。そうだね。」
凌久が私と同じようにしゃがむとウサギの頭を指で撫で始めた。
「知ってるか?スイスでは子ウサギを一匹では飼えない法律があるって。」
「え。そんな法律あるの??」
「ウサギはストレスに弱い生き物だからな。"寂しくて死ぬ"ってのはあながち間違いじゃないらしい。」
「へえ。」
ウサギは寂しいと死んじゃう話、確かに聞いたことがある。
私からすれば只何気無く聞いていた言葉だった。
でも凌久にとってその言葉は、凌久の"ほっとけない精神"を造り出すほど重要なものだったようで
凌久が私に、「俺の元に来い」って言った意味を知る言葉でもあった。
ヒクヒクと鼻を動かすウサギ。
白く短い毛並みが生温い風に揺れている。
「・・・俺には昔、救えなかった命がある。」
「・・・え?」
ニンジンに飽きたウサギが他のウサギの元へと走って行った。
凌久がそれを目で追う。
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