第150話

少し離れて後ろをついていく私に、凌久が何度も振り返ってくれた。


凌久の仲間にはならないと言った以上、手を繋いで貰うのも抱っこして貰うのも控えなければならない。


凌久に甘えそうになりながらも必死について行った。



駅に着くと平日とあってか人はまばらだ。



「・・・凌久でも電車とか乗るの?」


「俺をなんだと思ってんだ。」


「"魔王"」


「・・・・」



魔王と2人で電車に乗って動物園に行くなんて何とも信じ難いことだ。



じーっと券売機を見つめる私に凌久が後ろから抱っこをして券売機のボタンの前に近付けてくれた。



「ほら、押せよ。」



なんで押したいのがバレたんだろう。


私は普段電車に乗ることがないからちょっと珍しかった。


ピッとボタンを押すと、そのまま凌久が私を前に向きを変えさせ、抱っこをした。



「自分で歩けましゅ・・・」


「いつさらわれるか分かんねえから駄目だ。」


「・・・・」



心配性なのか過保護なのかは分からないけど、昨日とは違ってドキドキした。


こんなとこを皆に見られたらどうしよう。


やっぱり後ろめたい気持ちはある・・・。

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