第148話

「それよかどっか行きたいとこある?」


「え??どっかって・・・外行ってもいいの?」


「俺は強えから。外ぐらい連れてってやるよ。」


「ほんと?!」



暫く外には出られないと思っていたから素直に嬉しかった。


これって別に皆を裏切ることにはならないよね?


瞳子さん公認の護衛だし。


でも実はちょっと凌久と色々話したい気持ちもあった。


色々ってのは、昨日里桜と鉢合わせしたのかどうかとか、里桜と何を話したのかとか。。



チラッと凌久を見ると、凌久に「何?」とあたかも私が聞きたい気持ちを読まれているようで、


直ぐにまた視線を外した。


そして里桜のことを聞けないまま私は子供の自分を演じた。



動物園どうぶちゅえんに行きたい・・・」


「了解。」



凌久は特に躊躇ためらうこともなくゆっくり立ち上がると玄関へと歩いて行った。



「ほら、行くぞ。」



行動早いな。


せっかく外に行けるんだから色々準備しようよ。



「ちょっと待って!」



私は布団の部屋に行くと、宗平が買って来てくれた小さなショルダーバッグを押し入れから取り出し、スマホとハンカチを入れた。


もう一度居間に戻り、大学に持って行っているリュックの中から財布を取り出した。


でも凌久が直ぐに遮った。



「金はいい。」


「え?!」


「チビに払わせるほど落ちぶれちゃいねえよ。」


「・・・・・・」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る