第146話
襖を開けると凌久が膝を立てて座っていて、
こんなボロアパートの狭い部屋に居ても妙に様になっている。
「・・・なんだその服・・・人形か。」
「こ、これは宗平が買って来てくれた服だもん・・・」
「宗平・・・?」
「・・・それより、何で来たんでしゅか。」
凌久が小さな私の目を真っすぐに見た。
「立候補したから。」
「え、・・・り、立候補??」
「お前のボディーガード役に。」
立候補って・・・
そんな学級委員じゃないんだから・・・。
「こんなちっさいのをこんなアパートで一人にすんじゃねえって瞳子に言ってやった。」
言ってやった・・・?
昨日私と会った事を瞳子さんに言ったの?!
「・・・瞳子さんの事は、何で知ってるんでしゅか?!」
「・・・俺、養護施設で育ったんだよ。」
「え?」
「ヴァンパイア専用の養護施設。
瞳子は昔からヴァンパイアの味方でさ、よく施設に顔出しに来てたんだよ。」
・・・そういえば・・・・
今でも瞳子さんはヴァンパイアの児童養護施設に通ってると言っていた。
ヴァンパイアは何かしら外見が違う分、イジメに合うなんてこともよくある話だ。
その状況を把握するためにも瞳子さんは度々訪れているらしい。
「・・・そうなんだ。」
「お前の事も瞳子からはよく聞かされてたよ。ほんとの娘みたいな可愛い姪っ子がいるって。」
「え・・・」
じゃあ、凌久は元々私の事を知っていたんだ・・・。
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