第144話

今は授業中だろうか、


授業中にスマホは見れるのだろうか、


スマホに気を取られながらも私はテレビに目をやった。


テレビには、可愛い動物番組の真っ最中で赤い目のウサギが映っている。



「三潴にもお礼言わなきゃ・・・」



赤目の三潴とウサギを重ねてか何気無くそう呟く自分がいた。


三潴はウルトラ垂らしの癖して大人な部分がある。



無愛想な私が1年前の事件で皆に心配かけまいと慣れない笑顔を見せた時、


さりげなく「笑顔の織果ちゃん可愛いね」と言ってくれた。


私が無理して笑顔を作っているのを分かっていながら言ってくれたのだと今になって思う。




時計を確認するふりをしてスマホを見るともうすぐ10時だ。


・・・・そんな直ぐにラインは返ってこないだろうな・・・・


そう思った矢先、部屋にピンポーンという甲高い音が響き渡った。



志藤さんだ。



・・・・本当に??


昨日突然庭に現れた洸太郎に騙されたばかりだ。



二の舞にならないようちゃんと確認しないと。



古びたドアの覗き穴からちゃんと確認しようにも自分の背が低すぎて全然届かない。


かといってうちには台に代わるような椅子もない。


ドアを開けずに確認出来るものが自分の声しかなかった。



「ど、どちら様でしゅか?!」



緊張しながらも声を大にして聞いてみた。


でもその緊張は直ぐに驚きへと変わる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る