5.
第143話
次の日、四竃はやっぱり朝からバイトだったようで、昨日と同じようにメモ用紙が置かれていた。
『とーこサンにはちゃんと護衛つけろってレンラクしといたから』
走り書きでもちゃんと書いて置いてくれるのは、なかなかラインを見ない私を思ってくれてのことなんだと思う。
そんな四竃の優しさに顔がほころんだ。
昨日宗平が買ってきてくれたカレーパンを頬張りながらテレビの電源をつける。
「・・・ふん、ふんふふーん♪」
すっかり覚えてしまった子供番組の歌を自然と口ずさみ、昨日泣いていたのが嘘のように気分がいい。
今日は金曜日だ。
明日は皆と遊べるかもしれないという期待もあった。
スマホを手に取ると瞳子さんからラインが来ている。
ラインを見ると、
『今日は10時に護衛役の志藤が行くから、会うまでは絶対外に出ないで!!信頼できる奴だから安心して!』
というメッセージが入っていた。
「・・・志藤しゃん?」
昨日のトラック事故の件で宮部さんは色々忙しいのかもしれない。
でもそれよりも私は里桜から何も連絡が来ていないことに少し不安を感じた。
気分が下がらないよう、無理にまた歌を口ずさむ。
どうしよう・・・
やっぱり里桜はカンカンに怒っているのだろうか・・・。
昨日の四竃の言葉を思い出し、私は思い切って自分から里桜にラインをすることにした。
私みたいな無愛想な人間が可愛く謝るにはどうしたらいいのだろうか。
いや、私なんかに可愛く謝られたらキモがられるだけだ。
いつも通りの自分でいこうと『昨日はごめんなさい。』という単純明解な謝罪文を入力してみた。
自分発信でこうやってラインを送ることは今までにあまりなかったから、ドキドキしながら送信マークをタップした。
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