第105話

スマホの単調な着信音が耳元で鳴り響き、


私は勢いよく飛び起きた。



枕の隣にあったスマホを慌てて取る。



その取った手がやたら小さいなと感じると、そういえば今自分は子供だったんだということに気付く。



スマホの画面には"瞳子さん"の文字が表示されてて、


電話を取ると瞳子さんの焦ったような声が耳に響いた。



『織果!!何もない?!大丈夫?!!』



「・・・・え・・・


うん・・・。」



自分の寝起きの声が瞳子さんのテンションに追い付かない。



『近くでトラックが歩道に突っ込む事故があって宮部がそっちに行けなかったのよ!!』



「・・・・え・・・ああ・・・宮部しゃん・・・」



『私もさっき知って、直ぐに連絡出来なくて悪かったわ!』



「・・・・いえ・・・怪我人はいたんでしゅか・・・?」



『幸い人通りの少ない時間だったから大丈夫よ。』



「ああ、よかった・・・。」



・・・スマホってこんなに重かったっけ?


片手じゃ収まらないから両手じゃないと持てないし・・・


そんな大事故の知らせに、私は他人事のようにあくびをした。




まだ眠い目を擦り、瞳子さんとの会話が終わると襖が自動的にゆっくりと開く。



・・・・とそこには、


凌久・・・・じゃなくて何故か里桜が居た。




「・・・・起きたか。」


「・・・うん。」


「・・・もうすぐ18時になる。」


「・・・うん。」



そこで私は、はっきりと目が醒めた。



早く会いたいと思っていた里桜が普通にうちに居る。


こんなに嬉しいことはない。


私は自然と笑顔が溢れた。

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