第104話

遠くの方で救急車かパトカーか分からないサイレンの音が聞こえる。



なんとなく温かい気配があっちとこっちにある気がして、でも目を開けようと思ってもなかなか重い瞼がひらかない。



こういう時って起きなきゃと思えば思うほどなかなか醒めることが出来ない気がする。




畳を踏みしめる音と誰かの話し声が聞こえる気がして、


でもやっぱり重い身体は全然動かなくて。



また私は深い眠りについた。




どれだけ眠っただろう。




凌久は私の最後の言葉を聞いてどう思っただろうか?


「ごめんなさい」


誘いを断る言葉だと受け止めてくれただろうか?


言い逃げみたいに私は眠ってしまって、一体何をしているんだろう。


自分の中で確信している事実なんだから、はっきりと断るべきだったんじゃないだろうか。


今度凌久に会ったら、ちゃんとはっきり言おう。


「私は今の仲間が大事だから凌久の元には行けない」って。


凌久は大人だから、きっと「お前の好きにすればいい」って言ってくれるはず。




何でだろう。


やっぱり私は、


今すぐ里桜に会いたい。

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