第96話

「・・・織果、


俺の元に来い。」



「え?」



「冗談じゃない。本気で言ってる。」



「・・・・」



「今日はそれを言うつもりでお前を呼んだんだ。」



「・・・・な、んで」



「お前の仲間はまだ高校生なんだろ?

お前はさ、奴らが年下だから勝手に責任感じてんだよ。」



「・・・・・・」



・・・・一体、何を言っているのだろう。


それはつまり、仲間になれと言うことだろうか。



「俺ならお前を守ってやれる。」


「・・・・え?!」


「約束する。」


「ちょ・・・ま、守るって・・・

私は総長でしゅよ?・・・守るのは私の方で、」


「でもお前は女だ。」


「・・・・お、女でも私は・・・・強いんでしゅ・・・・。」



"女だから守られるべき存在"だと決めつけられるのは抵抗があるはずなのに、自分の強さを自信満々に誇ることが上手く出来ない。


今の私の姿で意気込んでも誰も納得しないだろうし。



でも、凌久が言っているのはきっとそういうことじゃない。


私が「小さいから」とか「弱いから」とか単純な理由なんかじゃない。


さっき私に「怖いか?」って聞いた言葉がずっと頭の隅に残っていて、


その言葉がボリュームを上げて私の頭の中を占領し始めた。

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