第75話

「・・・それで呼ぶな。凌久にしろ。」


「・・・凌久。」


「・・・・・・」



私を見つめる凌久の瞳が揺れる。


安心感からか私はあくびを一つすると、タオルを離しぎゅっと凌久の白いシャツを掴んだ。



すると凌久がまた優しく私の髪を撫でる。




「・・・今日からこれを飼う。」



え。



するすると私のチリチリの髪を手でとかし、凌久が私の髪先にキスをした。



ごめん凌久、私昨日、髪の毛洗ってないや。




「・・・飼うって・・・ダメだよ、

ボクだって飼いたいのに。」



「まるで論点がずれてる。」



論点よりも「飼う」という言葉がずれている。



「敵の総長を飼うって・・・そもそも喧嘩を売る予定だったのに。」



洸太郎が足を組み換え、呆れ顔で溜め息を漏らす。



「しょうなの??私の血じゃなくってケンカなの??」



洸太郎がしゃべったのに何故か凌久を見る私。


だって私に話があるのは凌久だって言ってたし。



「・・・・・・」



見上げる私に凌久が無言で私の頬を撫でた。


掌で撫でた後、下から指の甲で撫で上げる。


あったかい手だ。

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