第74話

タオルから魔王のシャツと同じレモングラスの香りが漂う。


妙に落ち着く・・・


私はされるがままに魔王のシャツに頬を付けた。


凄い。さすが、ロリコンの色魔。




「へえ、びっくり。

そんな小さいのまで虜にするのか。

さすが"魔王"だね。」



洸太郎がどっと疲れたような声で向かいのソファに腰を下ろす。



「・・・だからボクは、凌久に会わせたくなかったんだよ。」



怒っているのかよく分からない平坦なトーンでハン君が私たちの隣に座った。


私がハン君の姿に身体を強張らせると、魔王の腕がぎゅっと固く私を包んだ。



「・・・こいつお前に怯えてる。ハン何したんだよ??」


「・・・別に。何も。」


「嘘つけ。お前女王にご執心だった癖に。

いつからロリに走った?」


「だから、その子が伊東さんなんだよ。

ね、伊東さん。」


「・・・・は?」



魔王が私に金色の目を落とす。


魔王っていうくらいだからもっと悪魔のような目だと思っていたのに。


その綺麗な目が優しく私を見つめ、私もその瞳から視線を反らせなくなってしまった。



「まおー・・・・・」



つい彼の源氏名を呼んでしまった。


なんとなく呼びたくなったから。

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