第70話
魔王が優しく女の子の背中をさすると艶のあるハスキーボイスで囁いた。
「・・・一人で学校行けるか?」
「・・・・うん、大丈夫・・・。」
女の子が立ち上がるとソファの横にあるリュックを取り部屋をそそくさと出て行った。
もうお昼なのに今から学校に行くのだろうか・・・・?
もしかするとこれが世に聞く援助交際という奴かもしれない。
凄い犯行現場を見てしまった。
あまりのことに私の緊張はどこかに吹き飛んで行ってしまったらしい。
またパタパタと玄関から駆けて来る音がする。
リビングにヒョコッと顔を出した女の子がソファに座る魔王の方を見た。
「・・・凌久さん・・・あの、ありがとう。」
「頑張れよ学校。」
「うん。」
女の子が私たちにも丁寧に会釈するとまた玄関の方へと駆けて行った。
・・・援助交際って思っていたより清いものなのかもしれない。
玄関のドアが閉まる音が聞こえるとようやく魔王が私たちに向けて口を
「おい、何だそのガキ。
女王もいねえわ待たせるわで使えねえなお前ら。」
魔王がソファの前のテーブルにある空の
分かっちゃいたが魔王もヴァンパイアなのだろう。
むしろヴァンパイアだけで集められたチームなのかもしれない。
「だから、遅くなるってラインしたじゃない。」
「遅くなってからライン寄越す意味わかんねえし。あやうくおっぱじめるとこだったじゃねえか。」
「うん。でもセーフだったでしょ?」
セーフも何も完全にアウトだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます