第69話

7階に着くと広めのフロアに2部屋あり、私たちは奥にある702号室の方に入った。



玄関にはカモフラ柄のオシャレなローファーと少し小さめの黒いローファーが置かれている。


部屋に入るとそのまま真っ直ぐリビングのある空間へと歩いていく。


そう言えばさっき"魔王"は「女の子を連れ込んでる」とか言ってたけど、あの小さなローファーは女の子のものなのだろうか?


きっと魔王は三潴のような色魔に違いない。




リビングに辿り着くと、絶句する光景を目の当たりにする。


真っ黒な幅広のソファに座る上半身裸の男、


そしてその膝の上に座るセーラー服姿の女の子。


私たちが来たにも関わらず、それはそれは濃厚なディープキスをされている。



・・・・というのはなんとなく想定の範囲内。



でもそのセーラー服姿の女の子のスカートは膝上じゃない。


今時には珍しい長めのスカート。


いや、今時とかそういうことじゃない。


明らかにおぼこい顔立ちに、まだ"女"になっていない細身の身体付き、着慣れていないシワのない制服。


私が顔を赤らめるよりも青冷めた理由、


それは恐らく彼女がまだ中学生に成り立ての女の子だということだ。



私の小さな目が泳ぐ。



静かな部屋に響く女の子の辿々しい吐息と水音、


それを全て吸い上げるような、男の強靭な肺活量。



うーん、実に長い。



こんなに濃厚で色っぽいシーンにも関わらず、私は心の中で男の肺に称賛を送った。



「凌久、犯罪だよ。」



軽く笑いながらハン君が"凌久"という"魔王"の犯行現場を指摘する。



このロリコン色魔が魔王か。


銀髪で上半身裸の男が女の子の唇をついばみながらゆっくり離すと私の姿を捕らえた。



「あ"?お前も同じようなもんだろ。

てかそこまでのガキは無理。多分壊す。」



膝の上に乗る女の子が恥ずかしそうに下を向いている。


自分は魔王に認められているような言葉に、

はにかんでいるような表情とでもいったところだろうか。


でも察してお嬢さん。


今の魔王の言葉は全然はにかむようなとこじゃないから。

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