第68話

無理に抱っこされながらハン君の顔を鋭い目付きで睨んでやった。



「・・・・おろして。」



せめてもの小さな抵抗だ。


でもハン君は余裕の笑みで私を降ろそうとはしない。



「凌久に何されるか分からないからイヤ。」



お前が言うな。


無理矢理降りようとすると両足を抱えるように掴まれ、また抱っこし直された。




洸太郎と3人で狭いエレベーターに乗るとハン君が7階のボタンを押した。


このマンションは7階が最上階らしい。


不意に洸太郎が腕時計を見る。



「もうすぐお昼だな。らん斗和とわは起きてる頃かな。」



出た。また私の知らない新しい名前だ。


チームと言っていたが何人なんにんいるチームなのだろう?




ねえ里桜、私たちも"チーム"で合ってるよね??



何故か里桜の姿が頭に思い浮かんだ。



「お前騙されてるぞ」と言いつつ、結局私の気持ちを優先してくれた里桜。


私を心配してくれたのに素直に「ありがとう」も言えなかったのが今になって悔やまれる。


早く里桜の腕に抱かれて安心したい。


凄く語弊のある言い方なのに、今は強くそう思えた。

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