第54話
くそぅ。
何だって私はこんなに弱いんだ。
総長として、皆の上に立つ者として私は絶対的強者でなければならない。
でも昨日から不安になったり怖くなったりする私はなんてちっぽけで弱い存在なんだろう。
こんなんじゃ皆の側にはいられない。
こんな弱い自分は、いやだ・・・
2年前、まだ1年生だった
私は立体駐車場の警備のバイト中だった。
雨漏りが酷くて立ち入り禁止になっている地下3階の駐車場から
沢山の不良の輪の中にいる2人のヴァンパイア。
その中に何の迷いもなく足を踏み入れた私が「はい、解散。」って皆に呼びかけたのが始まり。
2人は私という存在にすぐに気付いた。
「狂喜の血」の匂いが地下に充満していたから。
そこに居た全員を倒して圧勝したのも束の間、
数日後には
三潴を背負い投げからの腹蹴りで倒した私を猛獣のような目で見る3頭のヴァンパイア。
私からすれば3人が猛獣で私が猛獣使いだ。
そして3校と私で手を組み、この地区で一番暴れていた四竃に喧嘩を売った。
さすが極道の息子とあってか四竃はまあまあ強かった。
それでも素早い動きの彼を後ろから押し倒し、馬乗りになって後頭部を頭突きした。
原始人のような戦い方をする私に四竃が言った。
「今日からあんたが俺らの総長」だって。
「あんたが総長でいる限り、この地区一帯の均衡は保たれる」んだって。
それから4人が私の元に集まって来てくれるようになった。
「総長」という堂々と威厳のある私に。
「仮面の女王」という常に冷静さを見失わない私に。
だから私は強くいないといけないんだ・・・・。
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