第31話

「後あんたら、言っとくけど今の織果から血は飲んじゃダメよ!!」



「えー!!!!なんで~?!!!」



「子供だからよ!!

子供の血液量は大人の半分にも満たないのよ??あんたたちみたいなハイエナが飲んだら死ぬ可能性だってあるんだから!!」



4人が小石を蹴る仕草で舌打ちをするのが分かった。


人の命が掛かっているのにしょげないで貰いたい。



「それと大学は休学届け出しとかないとね。」



「えー!!!!」



「そのまま大学なんて行けるわけないでしょ!!どんな飛び級天才児よ!!!」



これでも私は工学系の学部に通う理数系女子。


課題のレポートもようやく提出したところだったのに突然休学だなんて・・・・


まあ単位もここまでせっかく取ったけれど、

それよりも私には気掛かりなことがあった。



「ハン君に何て言おう・・・」



「・・・ハン君?」



四竃が私のほっぺたをムニムニする。



「大学の友達でしゅ。」



「え?友達??」



四竃のムニムニしていた手が止まり、皆の視線が私に集中する。



「・・・お前に友達なんかいたのか?」



里桜がちょっと驚いた顔をしている。



「あれだろ、どうせカマドウマとかダンゴムシの名前だろ。」



え?


私って一体何だと思われてるの??



「韓国人留学生のハン君でしゅよ。同じサークルの友達なんでしゅ。」



「・・・・・え?

そのハンってのはまさか男じゃないよね?」



「猿の名前じゃなくって?」



それはパン君では??



「男でしゅよ。大学で唯一の友達なんでしゅ。」



「てかお前サークルなんか入ってたのか・・・」



「すぐにサークルなんて辞めろ!大学のサークルなんて乱交パーティーみたいなもんだろう!!」



ねえ、宗平のその時代錯誤な発想は誰譲りなの??



「織果ちゃん、そこに可愛い女の子はいる??」



「そこにふくよかなオバチャンはいる??」



面倒くさいなこいつら。


"ふくよかなオバチャン"は食堂か清掃のオバチャンだろう。



「とにかく織果、あんたはしばらく自宅待機よ!!いいわね??」



「ええええ~!!!!」



「今色々まずいことになってんのよ!

なんでこのタイミングであんたは小さくなっちゃうのよ!!」



瞳子さんは溜め息をつきながらシャツのポケットから煙草を取り出した。


咄嗟に三潴がライターを取り出し、瞳子さんの煙草に火をつける。


宗平が煙を手で払いながら瞳子さんを見た。



「・・・・何かあったんですか?」



瞳子さんが煙をふっと吐き出すと宗平を見つめ返す。



「あんたが一番関わりあるかもね。

ちょっと話をしましょうか、二越宗平ふたごえそうへい君。」

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