第30話

「それよりまずい事になったわね、そんなチビになったら益々狙われるじゃないの!!!!」



「うん。だから俺は皆に言ったんすよ?この現状を解決に導きましょうって。」



四竃が私の脇に手を入れ、高い高いをしてくれた。


でもこれは単にさっき鬼の形相だった私の機嫌を直すためであるのはお見通し。


と言いつつも高い高いがちょっと楽しかったりする。



「別に僕が全力で守るし。

なんならうちに連れて帰って警護を500人つけるから。」



宗平がドヤ顔で腕組をするが、すかさず里桜が突っ込みを入れた。



「それ連れて帰る必要なくねぇか?!警護だけアパートの周りに置いとけよ。」



「何言ってるんだ、大いにある!!」



そうか、今の状態だと私は夜一体どうなるのだろう。


自分の意思と関係なく子供の感情が出てきてしまう。


きっと夜は一人で大泣きするだろう。


私は四竃の胸元のエプロンを掴み、見上げて言った。



四竃にゃんこー、今日からしばらく一緒に寝てほしいでしゅ。」



四竃は同じアパートに住む住民だ。


今の私には揉まれる胸もないし、熟女好きな四竃となら夜一緒に寝るくらいなんてことはないだろう。



「はわ~・・・///俺オーバー50にしかときめかないって決めてるのに、あれ?可笑しいな、この胸の鼓動は何だろう。トクトクトク。」



四竃が全て胸のうちに秘めておくべき事項を公言した。



「っお"い!!!!四竃しかま、お前オルカに手出したらそのピンクの髪の毛全部ぶち抜くぞ!!分かってるな?!!」



「あ、でも俺夜間は高校あるしな~。

ほんと寝に帰るだけでかなり遅くなるっすよ??」



ぷにッと私のほっぺたを指で差しながら私の目を四竃が猫の目で見つめる。



四竃は定時制で夜間高校に通っている上、昼間はバイト三昧でほとんど家には居ないのだ。



「そこは俺がカバーする。四竃が帰るまでアパートで飯食わして寝るまで一緒に居てやるよ。」



里桜が名乗り出てくれたのがなんだか嬉しくて私は目を輝かせた。



「ほ、ほんとでしゅか・・・!」


「ああ、なんか適当に飯作ってやんよ。」



さすが"おかん"。おかん万歳!!


なんとなく里桜に抱きつきたくなったけど

自分からは行きにくかった。


子供でも思いとどまることもあるのだなと思った。




「あ、じゃあ俺もちょくちょく様子見にがてら遊びに行くね☆」



「僕は学校終わったら毎日行くようにするから!!」



三潴がちょくちょくうちに来るのはいつものことだ。


宗平はいいとこのおぼっちゃんなんだから、うちに来るよりももっとすべきことがあるはずだろう。

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