第11話

「な、なんでそっから普遍的に入って来るでしゅか!??」



「・・・・・あ"?裏の塀乗り越えて来る方が近かったからだよ。

てかほんとなんだよお前??織果の親戚のガキか??」



金髪頭の彼の名前は一氏里桜いちうじりおう


高3で、青塚あおづか高校のトップを張っている目つきの悪いヴァンパイアだ。


目の下には喧嘩でつけたのか、傷がある。



「って、てかなんだよその恰好!!///

織果のTシャツだろ??

ちゃんとした服着ろよ!///」



半分肩が丸見えになっている私の姿を見て、この不良は顔を真っ赤にしている。


こんな子供でも赤くなるのか・・・



「いえ私が織果なんでしゅ。朝起きたらこんな姿に・・・って里桜は何でここに?学校は??」



里桜が勝手に机の前に座る。


手にはレジ袋に入ったリンゴを持っていた。



「今日はうちの高校創立記念日なんだよ。

隣からリンゴ貰ったから置きに来たんだよ。」



「そ、そうなんでしゅか。」



レジ袋を手渡され中を見ると、真っ赤なリンゴが5個入っている。



「美味ししょう・・・」



さっき玉子サンドを食べたばかりだったが歌って踊って汗を掻いたせいかお腹が鳴った。



「お前一人で留守番してんのか??

お腹空くだろ。リンゴ切ってやるよ。」



そう言って里桜がリンゴを一つ取ってキッチンへと行く。


このヴァンパイアは見た目も言動も不良っぽいのに中身はちょっと"おかん"だったりする。


見ていると里桜りおーがリンゴを洗い

慣れた手つきで切っていく。


しかもウサギ型のリンゴや、ちょっとアートっぽいハート型のリンゴ、


そして何故かリンゴの形に切ったリンゴをお皿に並べた。


リンゴ型のリンゴって、それはもうリンゴをそのまま出せばいい気もする。

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