最終話:エッチしようね、はセシルの定番のセリフ。
「おっはよ、未来ちゃん」
「お〜き〜て〜・・・・おきて!!、ってば」
「起きないか・・・じゃ〜こうしてやる」
「・・・・・・・・・・」
「ぶっ、ぶあ・・・ぶはっ、はあ、はあ、はあ、やめろ〜」
「おまえな〜なんで俺の鼻つまんだままチューするんだよ」
「窒息するだろが・・・」
「だって、起きないんだもん」
「起きるよ・・・優しく起こしてくれたら起きるの・・・」
「ったく、毎朝、毎朝いろいろやってくれるな」
「構ってほしんだもん」
「俺がいる間は構ってやってるだろ?」
「足りない・・・」
「これ以上、どうしろって言うんだよ」
「寂しすぎて死んじゃうかも・・・」
「もう、調子悪くなるのはやめてくれよ、大変だったんだからな」
「それより朝ごはん出来てるのか?」
「今朝は、コシヒカリにポテサラにキュウリとナスのお漬物に、お味噌汁」
「お〜やっぱり和食はいいな、日本人だし・・・気がきくなセシル・・・」
「干しぶどうのおじいちゃんが、和食しか食べなかったからね」
「そうなんだ」
「・・・そうだセシル?・・・そのおじいちゃんのお墓にお参りに行って
みないか?」
「それにさ、なんか俺、今日はセシルといたいから会社休むわ・・・」
「まじで?、ほんとに・・・嬉しい、超嬉しい」
「だから時間あるし、おじいちゃんのお墓に行ってみよう?」
「いいけど、でもおじいちゃんが亡くなって、お葬式が終わってから
私は、おじいちゃんのバカ息子に、おばあちゃんのお店に売られちゃったから、
おじいちゃんのお墓がどこにあるかなんて知らないよ 」
「それはたぶん、分かると思う、おじいちゃんの名前さえ分かったらな」
「おじいちゃんの名前は「
「すげえ行半な名前・・・それだけ、はっきりした名前なら、お墓はすぐに
見つかるよ」
「最近は墓石なんか建てて納骨しないからな・・・」
「行ってみるか?俺も前のオーナーに会ってみたいし・・・」
で、俺はセシルを連れて、都内の「シエル」って屋内墓所に行ってみた。
思った通り、受付で調べてもらったら、そこにおじいちゃんのお墓があった。
俺は、おじいちゃんの墓の前でセシルと手を合わせた。
「あなたから、譲り受けた大切な孫娘は俺んとこで元気にしてますからね、
安心してください」
「いつになるか分かりませんけど、そのうち俺もお邪魔しますから、
それまで俺たちを見守っていてください」
「おじいちゃん・・・元気でやってる、セシルだよ」
「私、今とっても幸せにやってるからね、だから安心して死んでてね」
「死んでてねって・・・セシル・・・」
「だって、おじいちゃんもう生き返らないんだもん」
「そうだけどさ・・・そういう時は安らかにとかって言うんだよ」
「そんなこといいの・・・心が籠ってたら、いいの」
「そうだな・・・まあいいか・・じゃ〜そろそろ行くか・・・」
街へ出ると今時、アンドロイドやガイノイドを連れてる人なんて珍しくもない。
だけど、あまりに人間そっくりだから、人間なのかアンドロイドなのか
見分けがつかない。
俺とセシルも普通のカップルに見えただろうな・・・。
「セシル・・・遠い将来、俺が死ぬまでにさ」
「セシルは誰か優しい人のところにもらわれていけるよう考えるからな」
「イヤだ・・・未来ちゃんと一緒に私も死んじゃう」
「そんなこと無理だよ・・・俺には寿命があるし、セシルはほぼ永久に
生きる続けるんだからさ・・・ 」
「それに人間とガイノイドは同じお墓には入れないんだよ 」
「じゃ〜私の体は廃棄してくれていいから、脳の中の記憶のチップだけ
抜いて、未来ちゃんと一緒のお墓に入れてもらって・・・。
「セシル・・・」
「私、ずっと未来ちゃんと一緒にいたい・・・天国へ行っても」
「分かった・・・そう遺言に書いておくから、セシルを俺の墓に持っていくよ」
「てかさ、ごめんな、陰気臭い話して、そんなのはまだまだ先の話だ・・・
お互い生きてるうちに楽しまなきゃな 、人生一度きり」
「悔いのないように・・・生きなきゃ」
「うん、いっぱい構ってもらって、いっぱい甘えて、いっぱい・・・ 」
「エッチしようね、って言うつもりだろ?」
「先に言っちゃ〜ダメだよ・・・私の定番のセリフなんだから」
「あ、パセリさんどうしてるかな、元気にやってるかな?」
「コラ!!無視したら街の人の鼓膜がやぶれるくらい大きな声で泣いちゃう
からね・・・」
「待て待て・・・そんなにムキにならなくても・・・」
「罰です・・・マンションに帰ったら、ご飯食べる前にエッチね、いい?」
「分かった・・・でも飯、食ったあとでな・・・」
「ダメです、許しません」
「セシルは飯食わななくてもいいだろうけど、俺はさ、腹が減ったら戦が
できないんだからさ・・・」
「ん?・・・戦?・・・未来ちゃん誰と戦うの?」
「依存体質で寂しがり屋で構ってちゃんでメンヘラちっくな彼女ちゃんとだよ」
「あ、なるほど・・・だったら私、負けませんからね」
おっしまい。
依存体質で寂しがり屋で構ってちゃんでメンヘラちっくな彼女ちゃん。 猫の尻尾 @amanotenshi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます