第21話 神久の終わり
★神久和樹(side)
「クソが!!!雪の奴電話にも出ないじゃないか!!!」
まさか雪が裏切る何て思ってもいなかった!
情報がばらまかれたのが昨日で既に神久には大ダメージだ!
株価なども暴落してるし本当にヤバい……
その上神久の事を暴露している配信者までいるし……
あのクソチキン野郎共が!こんな時しか出来ない癖によぉ!!!
「父さん!!本当に大丈夫なのかよ!!!」
俺がそう言うと父さんはこちらを見ないで怒鳴って来た。
「うるさい!!!今はお前に構ってる時間は無いんだよ!!!誰のせいで俺が頭を下げて協力を要請してると思っているんだ!!!今まで俺達にへこへこしていた奴らでさえ今では手のひらを返しているんだぞ!!!」
「そ、そんなに……」
「それに警察まで動く事態になっているんだぞ!!!」
「え?でも警察は買収出来てるんじゃ……」
「お前は馬鹿なのか!!!大体買収出来ると言ってもある程度の地位にいる警察までに決まってるだろうが!!今回は暴露に始まり過去の被害者が一斉に被害届を出していてもっと上の立場の人間が動いているんだよ!!!」
もっと上ってそれじゃあ……
「どうにかならないのかよ!!!」
「だから黙れと言っているだろうが!!!それをどうにかしようとしてるのにお前が邪魔しているんだろうが!!!早く出ていけ!!!」
そんな感じで俺は部屋を追い出された。
「クソ!!!」
今日は学校だが行ける訳が無い。
父さんにも家からでるなと言われているしな。
「でも本当に大丈夫……だよな……」
父さんの人脈は凄いはずだ。
あんなに必死な父さんは初めて見たが……
それにしても雪だ!!!
あいつだけは絶対に許さない!
◇
――それから数日後
「う……嘘だろ……」
今の俺は元々住んでいた家から避難して違う家に寝泊まりしていたのだが、とある記事をベッドの上で見て震えていた。
「ど、どういう……ことだよ……」
その記事には父さんが逮捕されたとの記事だった。
それにともない神久は倒産してい神久ギルドも壊滅状態。
世間には同情の声も無く罵詈雑言で溢れている。
その声は当然俺にも向けられている。
「何で……こんなことに……」
父さんが逮捕?神久が倒産?ギルド崩壊?
俺のせいでこうなったのか……
俺はただ新堂龍星を手に入れようとしただけだぞ?
俺は神久だ……上に立つべき存在なんだぞ……
皆が見上げて皆が羨む……そんな存在なはずだ。
「……そうだ……俺は神久和樹だ!」
父さんも今はいないんだから俺は俺で動こう。
父さんもどうせ直ぐに釈放されるはずだ……だってうちは神久なんだからよ……
とにかく俺は学校に行こう……
このままじゃ俺より下の奴らに見下されかねない……俺は見下す存在であってその逆になって良い存在じゃないんだ……
俺はそう思って学校に向かった。
神久和樹は既にまともな精神状態じゃなかったが自分でそう言い聞かせていた。
◇
――俺は学校に着いて教室に入った。
皆は前と同じく俺に注目をしている。
うん。大丈夫だ前と変わっていない……
俺はそう思っていつも通りに立ち回る事にした。
「おはよう鈴木今日も相変わらず地味な見た目だな」
俺が話しかけたのはクラスの男子で俺の隣の席の地味な男だ。
「……」
「おい!何無視してんだよ!スズキの癖によぉ!!!」
「ちょっとうるさいですよ……」
「はぁ!?てめぇ!!!このっ!!!」
俺がそう言って胸倉を掴んだら横から手を掴まれた。
「おいおい。何してんだよ神久?」
そう言って来るのは俺の金魚の糞だった佐藤たちだ。
「何ってこいつが生意気だからだよ!!てめぇこそなんだよ?いつも俺と一緒にコイツの悪口言ってたじゃねーかよ?」
「はぁ?お前ってさ、本当に頭悪いよな?俺達が本当にお前と同じ事を思っていたと思ってるのか?」
「は?」
「俺達はお前がクソ野郎って知ってるから従っていた振りをしていただけなんだよ!大体そうしないとお前は俺達にも権力を使って好き放題するくせによ!!!それに俺達は裏で鈴木とは仲良くやってるんだよ!お前がいない所でな!!!」
は?何言ってんだコイツは……俺の金魚の糞の癖に!
「てめぇ!金魚の糞の癖に何いってんだよ!!!」
「はぁ、もうめんどくせーよ……今のお前は権力も何もないただのゴミなんだよ!!ようは今のお前には誰も従わねーんだよ!!!このゴミ野郎が!!!周りを見てみろよ!!!」
「っ!……」
そう言われて周りを見ると皆は俺の事をゴミを見る目で見ていた。
「な?分かっただろ?今のてめぇはただのゴミであって、普段お前が言ってるような上の人間じゃねーんだよ!世間でも何処に行っても俺達と同じ考えなんだよ!!!てめぇは二度と上の人間とやらにはなれねーんだよ!いい加減に理解しろよ!!!」
佐藤がそう言うとクラスメイト達は一斉に「そうだそうだ」と言い始めた。
「っ!!!」
今すぐこいつら全員ぶっ潰したいけどそうすると間違いなく問題になるし今は父さんの手助けも無い。
一体どうすれば……こんな奴らから馬鹿にされて何も出来ないなんて……
その時教室に雪が入って来た。
「おはようございます。どうしたんですか?」
そう言って雪は俺の方を見て来た。
「あっ!なる程……」
「ゆ……雪!!!」
そうだ、全部こいつが悪いんだ!!!
「何でしょうか?神久さん?」
「てっ!てめぇ!!!!」
雪の一言を聞いて冷静さを失い殴りかかろうとした時だった。
「やめた方が良いですよ?今のあなたは何の後ろ盾もないんですよ?」
「っ!!!」
雪はそう言って俺に近づき耳元で小さな声で言って来た。
「それにこんな事に光龍ギルドの名前を使いたく無いんですが敢えて言いますね?今の私には光龍ギルドの後ろ盾があるんですよ?神久を潰せるような光龍ギルドがですよ?あなたが以前親の後ろ盾を使っていた様にですよ。今はあなたが下で私が上なんです。理解できますか?今まで自分がして来た事を一生後悔して生きてくださいね?あなたは逮捕されなかっただけましなんですからね?」
笑顔でそう言う雪は今までに感じた事がない位怒気を含んだ声でそう言って来て俺は理解せずにはいられなかった。
俺にはもう何も残っていないのだと……雪はそれだけ言ってスッキリしたと呟いて去って行った。
それから俺は一人で毎日夜に後悔しながら泣いて学校では隅で一人で過ごす事になってしまった。あいつに手を出さなければ良かったと。
生きていてもしょうがないと思いつつも、死ぬ勇気もない。
かと言って雪に対して復讐する度胸もない。ただただ毎日皆に後ろ指を差されながら無気力で生きている。
好き勝手してきた神久はもう存在しない……
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